エアコンの排熱は地球を温暖化するか?
あづい〜〜〜〜。
ほんと暑い。
街を歩いていると、エアコンの室外機が出す熱風に直撃することがある。けっこうキツイ。
中国さまでは、高層ビルの一面が室外機とか。
ソース:http://www.recordchina.co.jp/group/g23722.html
うちのオカンなんか、エアコンの排熱が地球温暖化を進めると思ってる。発電にともなうCO2の排出のことを言ってるのだろうか?エアコンを動かす電力はだいたい65% くらいを化石燃料に依存しているので*1、エアコンを使うことでCO2が排出され、確かに地球を温暖化させる。でも、言おうとしてることはたぶん違うだろう。エアコンの室外機から出る熱風が直接地球を温めていると考えているに違いない。ましてや、ヒートポンプも知らないのだろう。まぁ、オカンなら仕方がないか。一般人の科学リテラシーはこんなものだ。
しかし、あろうことか、科学者と名乗る人がこんなことを言っていた。
人類が使うエネルギーは結局熱になるよね?その熱って結構膨大で、地球温暖化に効くかもしれないね。
化石燃料って、何億年前の太陽エネルギーを閉じ込めているんだよね。現代人はそれを一気に消費している。すごいエネルギーだ。このエネルギーで地球は温暖化するかもしれない。
をいをい。。。
直感的にそんなことないことはわかるが、コテンパンに否定するために、定量的に見積もってみよう*2。
見積り
エネルギー白書2010によると、2008年における世界の一次エネルギー使用量のうち再生可能エネルギーを除いた量は年間 1.06x1010 toe だそうな。これは年間 4.43×2020J に対応する。発熱量は 1.40×1013W に相当し、単位面積あたりでは
になる。予想通り、とっても小さい。以前見積もった地熱の1/3程度だ。
このエネルギー流束は気温を何度上昇させるだろうか。熱放射なので を仮定すると、 からの温度変化 は
まとめると
補説
とまぁ、再生不可能なエネルギーの燃焼にともなう熱が、地球を温暖化させる量は微々たるものになった。しかし、これはグローバルな影響を否定しているのであって、ローカルな影響を否定しているものではない。ヒートアイランド現象の原因のひとつが人工的な排熱だ。もっと極端な例ではエアコンの室外機の前は熱い。
温室効果との比較
とう声があると思う。では上記の一次エネルギーのうち、化石燃料によって排出されるCO2の量を見積り、その温室効果を調べてみよう。発熱量やtoeからCO2排出量を見積もるのは、燃料の種類によって換算係数が異なり、ちょっと面倒。ここでは手っ取り早く、ここのデータを使うことにする。それによると、2007年における化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の使用によるCO2の排出量は年間 である。例によって、単位面積あたりにすると年間 になる。このうちどのくらいが大気に残るかというのは微妙な問題なので、ここではその係数を としておこう( )。一方、大気の量は1m2あたり10.3tになる。これらが混ざるわけで、体積比で年間 3.65 ppmだけCO2濃度がふえることになる。
現在のCO2濃度は 390 ppm なので、放射強制力(温室効果)の増加分は*3
となる。排出されたCO2の半分が大気に残るとすれば となり、上で求めた発熱量と同程度になる。この放射強制力を温度上昇に焼き直すと
である。
な〜んだ、やっぱりCO2による温暖化は効かないんじゃんw
と考えるひともいるのかな?こう考えるひとは某T活動家と同じレベルだと思う。味噌汁で顔を洗って出直してきて欲しい。
じゃぁ、どうしてCO2が温暖化に効くの?そんなの自分で考えなさい。
じゃぁの。*4