【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(4/18)

米国エネルギー省が4月18日にまとめた福島第一原子力発電所放射能に関する評価報告を和訳する。今回は、放射線量の積算が見積もられた。計画避難区域に指定された地域では年間20mSvを超える被曝があると予想される。これは一般人が受ける平均的な放射線量の10倍以上である。

原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル4月18日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"

原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。

福島原子力発電所からの放射能の影響評価

米国エネルギー省、米国国家原子力安全保障局
4月18日2011年

計画の概要

  • AMS (Aerial Measuring Systems; 航空計測システム)は、これまで334飛行時間をかけて、航空モニタリングを行った*1
  • NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約150,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
  • 在日米国施設で計504の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。

最初の1年間における放射線量(被曝線量)の見積もり

3月16日から365日間の放射線量の見積もり

解釈のためのガイド

2011年3月16日から1年間の被曝線量の見積もり

地図は、福島第一原子力発電所から放射性物質が放出されてから1年間における、ヒトが受ける放射線量を示す。

年間 2 rem (20 mSv) の閾値

放射性物質の放出以前に避難しなかった人々は、放出から1年間そこにとどまり続けると、2 rem (20 mSv) 以上の放射線量を受けると予想される。この領域は赤で示されている。放出前(3月16日以前)に赤で示された領域から避難した人々は、2 rem (20 mSv)以下の線量を受けると予想される。

年間 100 mrem (1 mSv)の閾値

放射性物質の放出以前に避難しなかった人々は、放出から1年間そこにとどまり続けると、100 mrem (1 mSv) 以上の放射線量を受けると予想される。この領域は青で示されている。

仮定
注意
  • 飛行サーベイによる10箇所の定点観測にもとづいている。
  • 放射線量変換係数(DCF)は、それぞれの飛行観測で測定された放射線量の減少から計算された。
  • 計算された放射線量はNRCが提供する放射性核種の構成割合にもとづいている。これは、現在まで測定されてきた核種と整合的である。

評価

4月17日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:

  • 放射線レベルは減少し続けている。
  • 3月19日以降、測定可能な放射性物質の放出はない。
  • 米軍基地と米国施設におけるすべての測定線量は32マイクロREM/毎時(0.32μSv/hr)未満である。健康へのリスクはないレベルである。
  • 農業のモニタリングと何らかの対策が数100km^2にわたり必要になるだろう:
    • 土壌と水のサンプル調査は、農業対策を決定する上での唯一確実な方法である。
    • 農作物のサンプリングが必要な地域を同定するために、土地のモニタリングがより良い方法である。

背景

  • NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
  • 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
  • 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
  • EPA環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。

* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif

放射線被曝線量の説明

以上。

*1:訳注:ヘリコプターに測定器を搭載して放射線量の測定を行った。