【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(5/6)
米国エネルギー省が5月6日にまとめた福島第一原子力発電所の放射能に関する評価報告を和訳する。今回は、放射線レベルの時間変化がマップで示された。また、被爆率とセシウムの土壌への蓄積量の詳細なマップも示された。マップを見る限り、福島市と伊達市もなんとかしないとダメなのでは?計画避難区域では、セシウム蓄積量がチェルノブイリ原子力発電所事故の事例を超えた可能性がある。
同じデータですが、文部科学省も何か発表しているようです。まとめて発表するのではなく、随時発表していくべきでは?
原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル5月6日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"
原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。
計画の概要
- DOE(エネルギー省)/NNSA(国家原子力安全保障局) による航空計測システム(Aerial Measuring Systems AMS)は、これまで490飛行時間以上をかけて、航空モニタリングを行った。
- NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約218,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD(国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
- 在日米国施設で計500個以上の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。
- 計136箇所の地表からのスペクトルは日本国内で計測され、米国の解析に使われている。
- 日本国内115箇所の土壌が採取され、解析されている。
米国と日本による航空調査データの統合
- これらの結果は、MEXT(日本文部科学省)、DOE(米国エネルギー省)/NNSA(米国国家原子力安全保障局)、USFJ(在日米軍)のサーベイを統合して得られたものである。
- 航空機とヘリコプターに計測器が取り付けられ、42回の航空調査が行われた。高度150〜700メートルを飛行し、4月6日から4月29日の期間を調査した。データはこれらの調査にもとづいている。
- 被曝率(訳注:単位時間あたりの被曝量)は半径300〜1500メートルの範囲の平均値である。
- 猪苗代町近傍は山岳地帯のため低空飛行が難しく、データが取得できていない。
- セシウムの地表への沈積は、航空計測と地上計測にもとづいて決められた。
- セシウム137とセシウム134の比は、調査した領域で一定である。
- 原子力発電所直上の航空調査データは取得されていない。
- 調査領域の範囲は、主に最初に放射性物質が地表に沈積した範囲にもとづいて選ばれた。
航空調査のデータ統合結果
キャプション訳:2011年4月29日の値に規格化した、地上レベルにおける被曝率(μSv/時間)
キャプション訳:2011年4月29日の値に規格化した、セシウムの地表への総沈積量(ベクレル/平方メートル)
評価
5月6日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:
背景
- NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
- 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
- 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
- EPA(環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。
* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif