【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(4/7)

米国エネルギー省が4月7日にまとめた福島第一原子力発電所放射能に関する評価報告を和訳してみる。

原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル4月7日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"

原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。

福島原子力発電所からの放射能の影響評価

米国エネルギー省、米国国家原子力安全保障局
4月7日2011年

計画の概要

  • AMS (Aerial Measuring Systems; 航空計測システム)は、これまで262飛行時間をかけて、航空モニタリングを行った*1
  • NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約100,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
  • 在日米国施設で計240の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。

解釈のためのガイド

  • 米国の放射能評価は、航空と地上の測定から構成される。この評価は、地上に存在する放射性物質からの放射線レベルを示す。
  • 個々の測定値は、測定地点において1時間あたりにヒトが受ける放射線量に相当する。AMSのデータを、測定時に地上から1メートルにおける被曝量として示す。
  • 福島原子力発電所の敷地外のすべての測定値は0.013rem/hr(0.13mSv/hr)未満である。これは低い値であるが、取るに足らないほど低い値ではない。

DOE/NNSA モニタリング

地上と航空モニタリングの結果(3月30日〜4月3日のデータより)

航空モニタリング結果(4月6日2011年)

評価

4月6日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:

  • 放出された放射性物質が速く崩壊していることから、放射性ヨウ素放射線源の主要な成分である。
  • 半径25マイル(40km)の外側では、放射線レベルは避難や移住をするレベルよりも一貫して低い。また、放射線レベルは減少し続けている。
  • 3月19日以降、測定可能な放射性物質の放出はない。
  • 米軍基地と米国施設におけるすべての測定線量は32マイクロREM/毎時(0.32μSv/hr)未満である。健康へのリスクはないレベルである。
  • 農業のモニタリングと何らかの対策が数100km^2にわたり必要になるだろう:
    • 土壌と水のサンプル調査は、農業対策を決定する上での唯一確実な方法である。
    • 農作物のサンプリングが必要な地域を同定するために、土地のモニタリングがより良い方法である。

被曝割合の推移


♦ 仙台、● 文部科学省モニタリング地点32、▲ 文部科学省モニタリング地点46、■ 原子力発電所正門

背景

  • NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
  • 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
  • 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
  • EPA環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。

* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif

放射線被曝の説明

以上。

*1:訳注:ヘリコプターに測定器を搭載して放射線量の測定を行った。