北極の氷は融けているか?(現状確認)
海氷面積の変化
2009年も11月になり、北極の海氷の極小期である9月を2ヶ月ほど過ぎました。現時点までの北極の海氷の面積は下図のようになっています。
2009年の海氷面積の変化は赤い曲線で示されています。平年並とはいわないまでも、ずいぶんと回復しています。
全球平均気温の変化
秋季の海氷面積回復の原因はいろいろと考えられます。そのひとつに、ここ数年の回復の寒冷な気温が考えられるかもしれません。下図に示すように、2002年〜2004年をピークに地球温暖化は一休みといった感じです。
ちなみに、ここ数年の寒冷な気温は冬が寒いためです。夏が涼しいためではありません。夏の気温は相変わらず高いのです。2009年の8月の全球平均気温は1891年以降2番目に高い気温になりました。気候システムというのは本当に複雑ですね。
出典:http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html
海氷の意味
気候変動における海氷の意味を確認しておきましょう:
- 海氷は気温変化のフィードバックを反映している。
- 過去105年以上の時間スケールにおいても、海氷や氷床の面積と気温に負の相関があると仮定すると整合性がある。
- 海氷はアルベド(反射率)を担っている。
- 海氷の減少は地球の反射率を減少させ、地球が吸収する太陽光が増加し、結果として地球温暖化を加速させる。
- 特に日射量が多い夏季(秋季ではない)の海氷面積が重要である。
- 海氷は冷却源である。
- 海氷に限らず陸氷も含めて、氷は冷却源になり、気温の上昇を妨げる働きがある。気候システムの慣性の一種である。
他にも塩分濃度やそれにともなう海洋循環に影響すると考えられています。
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