Phun で銀河シミュレーション

D

 ちょっと時間ができたので、Phunを触ってみました。すごく久しぶり。

 Phunは2次元物理演算ソフトで、剛体の運動を計算してリアルタイムで可視化します。最新バージョン(と言ってもかなり前にリリースされたもの)では、引力が実装されました。ならば重力に応用しないとね。気分は宇宙物理学者ですw

 コメントを見ると、本職の方もいるようで。ありがたいことです。

Phunの引力を重力に応用

 Phunにおける二体間に働く引力 F
  F = \frac{(A + B) M m }{ r^2 }
と実装されているようです。ここで  A B は各物体の引力の係数です。 M m は各物体の質量、 r は二体間の距離です。したがって、Phunの引力を重力に応用するためには、重力定数  G
  G = A + B
とすれば良いことになります。

 ある重力源とその他のテスト粒子の問題を考える場合には、重力源の引力係数を  G、テスト粒子の引力係数を 0 にセットすれば良いことになります。すべての物体間の重力を考える場合(すなわち自己重力多体問題)では、すべての物体の引力係数を  G /2 にセットすれば良いでしょう。

 なんでこんな実装にしたんだろう?ボクなら
  F = \frac{A B}{r^2}
とするなー。こうすると、重力だけではくクーロン力への応用も簡単なはず。

銀河衝突

 昔の宇宙は狭かったので、銀河が狭い敷地にひしめき合っていました。したがって、頻繁に衝突・合体しました。また、銀河団においても同様の状況で、銀河は互いに肩をぶつけながら、ときには衝突・合体します。そんな感じで、銀河の衝突をシミュレーションで再現しました。アンテナ銀河と比較したりしました。

 このシミュレーションでは、中心の粒子(Phunの円オブジェクト)1個だけが重力源です。その他の多数の粒子は、中心粒子の重力だけを感じ、その他の粒子の重力を感じません。したがって、粒子の回転は、太陽のまわりを回る惑星のようにケプラーの法則に従い、本当の銀河より差動回転が大きくなってしまいます。本当は回転速度は一定です(角速度は半径に反比例)。まぁ、本質ではないのでこれは許してください。

渦巻銀河の渦を再現

 渦巻銀河の渦巻模様は大変美しい。巻貝の模様と同種のパターンであるとか。これを Phun で再現できないか、実験しました。

 銀河の構成要素は (1) ダークマター、(2) 星、(3) ガスです。このうち、渦巻模様を担っているのは星です。実は星の個数分布だけに着目すると、渦巻模様のコントラストは低く、とてものっぺりしています。腕の部分に明るい星が多く分布しているため、渦巻模様のコントラストが強調されるのです。これにはガスも関係しているのですが、詳しく書くと長くなるので、ここでは割愛します。

 Phun では星の分布の再現に挑戦しました。動画でも紹介している通り、星だけを考えるとうまくいきません。ダークマターが必要です。実際の銀河では、ダークマターが作る重力ポテンシャルの中を星が回転しています。そして星の間の重力相互作用によって、渦の模様ができると考えられています。

 Phun では銀河の中心に重い重力源を置き、ダークマターが作る重力ポテンシャルとしました。このため、Phunダークマターは、銀河の中心一点に質量が集中してしまいます。本来なら銀河全体に広がったダークマターを作るべきなのでしょうが、Phun では難しいでしょう。なぜかと言うと、Phunダークマターは星と衝突してしまうからですw

 伴銀河があったり、ダークマターの分布が歪んでいたいるすと、さらに綺麗な渦模様ができると予想されます。

Phun 力学の問題点

時間ステップが固定

 時間ステップが固定されているので、粒子間の距離が近くなると、重力が強くなり、誤差によって粒子が飛んでいってしまいます。これを回避するために、粒子をある程度の大きさにします。粒子の直径以下には近づけないという算段です。

粒子が衝突してしまう

 Phunでは衝突するグループ分けを設定できますが、同じ衝突グループに属さないと重力が働きません。したがって、粒子は衝突してしまいます。本来はすり抜けて欲しいのですが。すり抜け可能になると、ダークマター粒子も計算できるようになります!

 動画でも粒子が飛び散っていますが、この原因は粒子の衝突です。

 粒子が衝突することを積極的に利用して、sticky な粒子のシミュレーションをしたほうが良いような気がしてきた。ネタはありますが、時間がありません(笑)。

計算が重い

 自己重力多体問題では、すべての粒子間の重力を計算するので、粒子数の自乗に比例して計算時間がかかります。本格的な計算では、いろいろな工夫をするようですが、Phunではその余地はありません。動画の粒子数は700個くらいです。

Algodooベータ版

いまなら Algodoo ベータ版が無償でダウンロード可能です。
http://www.algodoo.com/wiki/Algodoo_beta/ja
期間限定だそうです。Algodoo は Phun の発展版です。Phun が Algodoo のプロトタイプというべきかな。
 

【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(5/6)

米国エネルギー省が5月6日にまとめた福島第一原子力発電所放射能に関する評価報告を和訳する。今回は、放射線レベルの時間変化がマップで示された。また、被爆率とセシウムの土壌への蓄積量の詳細なマップも示された。マップを見る限り、福島市伊達市もなんとかしないとダメなのでは?計画避難区域では、セシウム蓄積量がチェルノブイリ原子力発電所事故の事例を超えた可能性がある。

同じデータですが、文部科学省も何か発表しているようです。まとめて発表するのではなく、随時発表していくべきでは?

原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル5月6日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"

原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。

福島原子力発電所からの放射能の影響評価

米国エネルギー省、米国国家原子力安全保障局
5月6日2011年

計画の概要

  • DOE(エネルギー省)/NNSA(国家原子力安全保障局) による航空計測システム(Aerial Measuring Systems AMS)は、これまで490飛行時間以上をかけて、航空モニタリングを行った。
  • NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約218,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
  • 在日米国施設で計500個以上の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。
  • 計136箇所の地表からのスペクトルは日本国内で計測され、米国の解析に使われている。
  • 日本国内115箇所の土壌が採取され、解析されている。

航空モニタリング調査領域

航空調査の結果の概要(3/17〜4/29/2011)
地上1メートルにおける被曝率

米国と日本による航空調査データの統合

  • これらの結果は、MEXT(日本文部科学省)、DOE(米国エネルギー省)/NNSA(米国国家原子力安全保障局)、USFJ(在日米軍)のサーベイを統合して得られたものである。
  • 航空機とヘリコプターに計測器が取り付けられ、42回の航空調査が行われた。高度150〜700メートルを飛行し、4月6日から4月29日の期間を調査した。データはこれらの調査にもとづいている。
  • 被曝率(訳注:単位時間あたりの被曝量)は半径300〜1500メートルの範囲の平均値である。
  • 猪苗代町近傍は山岳地帯のため低空飛行が難しく、データが取得できていない。
  • セシウムの地表への沈積は、航空計測と地上計測にもとづいて決められた。
  • セシウム137とセシウム134の比は、調査した領域で一定である。
  • 原子力発電所直上の航空調査データは取得されていない。
  • 調査領域の範囲は、主に最初に放射性物質が地表に沈積した範囲にもとづいて選ばれた。

航空調査のデータ統合結果

キャプション訳:2011年4月29日の値に規格化した、地上レベルにおける被曝率(μSv/時間)

キャプション訳:2011年4月29日の値に規格化した、セシウムの地表への総沈積量(ベクレル/平方メートル)

評価

5月6日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:

  • 放射線レベルは減少し続けている。
  • 3月19日以降、測定可能な放射性物質の地表への沈積はない。
  • 米軍基地と米国施設におけるすべての測定線量は32マイクロREM/毎時(0.32μSv/hr)未満である。健康へのリスクはないレベルである。
  • 農業のモニタリングと何らかの対策が数100km^2にわたり必要になるだろう:
    • 土壌と水のサンプル調査は、農業対策を決定する上での唯一確実な方法である。
    • 農作物のサンプリングが必要な地域を同定するために、土地のモニタリングがより良い方法である。

背景

  • NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
  • 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
  • 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
  • EPA環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。

* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif

放射線被曝線量の説明

以上。

【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(4/22)

米国エネルギー省が4月18日にまとめた福島第一原子力発電所放射能に関する評価報告を和訳する。今回は、放射線レベルの時間変化がマップで示された。

原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル4月22日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"

原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。

福島原子力発電所からの放射能の影響評価

米国エネルギー省、米国国家原子力安全保障局
4月22日2011年

計画の概要

  • AMS (Aerial Measuring Systems; 航空計測システム)は、これまで400飛行時間をかけて、航空モニタリングを行った*1
  • NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約160,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
  • 在日米国施設で計559の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。

サーベイデータの時間変化


評価

4月20日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:

  • 放射線レベルは減少し続けている。
  • 3月19日以降、測定可能な放射性物質の放出はない。
  • 米軍基地と米国施設におけるすべての測定線量は32マイクロREM/毎時(0.32μSv/hr)未満である。健康へのリスクはないレベルである。
  • 農業のモニタリングと何らかの対策が数100km^2にわたり必要になるだろう:
    • 土壌と水のサンプル調査は、農業対策を決定する上での唯一確実な方法である。
    • 農作物のサンプリングが必要な地域を同定するために、土地のモニタリングがより良い方法である。

背景

  • NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
  • 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
  • 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
  • EPA環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。

* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif

放射線被曝線量の説明

以上。

*1:訳注:ヘリコプターに測定器を搭載して放射線量の測定を行った。

【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(4/18)

米国エネルギー省が4月18日にまとめた福島第一原子力発電所放射能に関する評価報告を和訳する。今回は、放射線量の積算が見積もられた。計画避難区域に指定された地域では年間20mSvを超える被曝があると予想される。これは一般人が受ける平均的な放射線量の10倍以上である。

原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル4月18日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"

原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。

福島原子力発電所からの放射能の影響評価

米国エネルギー省、米国国家原子力安全保障局
4月18日2011年

計画の概要

  • AMS (Aerial Measuring Systems; 航空計測システム)は、これまで334飛行時間をかけて、航空モニタリングを行った*1
  • NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約150,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
  • 在日米国施設で計504の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。

最初の1年間における放射線量(被曝線量)の見積もり

3月16日から365日間の放射線量の見積もり

解釈のためのガイド

2011年3月16日から1年間の被曝線量の見積もり

地図は、福島第一原子力発電所から放射性物質が放出されてから1年間における、ヒトが受ける放射線量を示す。

年間 2 rem (20 mSv) の閾値

放射性物質の放出以前に避難しなかった人々は、放出から1年間そこにとどまり続けると、2 rem (20 mSv) 以上の放射線量を受けると予想される。この領域は赤で示されている。放出前(3月16日以前)に赤で示された領域から避難した人々は、2 rem (20 mSv)以下の線量を受けると予想される。

年間 100 mrem (1 mSv)の閾値

放射性物質の放出以前に避難しなかった人々は、放出から1年間そこにとどまり続けると、100 mrem (1 mSv) 以上の放射線量を受けると予想される。この領域は青で示されている。

仮定
注意
  • 飛行サーベイによる10箇所の定点観測にもとづいている。
  • 放射線量変換係数(DCF)は、それぞれの飛行観測で測定された放射線量の減少から計算された。
  • 計算された放射線量はNRCが提供する放射性核種の構成割合にもとづいている。これは、現在まで測定されてきた核種と整合的である。

評価

4月17日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:

  • 放射線レベルは減少し続けている。
  • 3月19日以降、測定可能な放射性物質の放出はない。
  • 米軍基地と米国施設におけるすべての測定線量は32マイクロREM/毎時(0.32μSv/hr)未満である。健康へのリスクはないレベルである。
  • 農業のモニタリングと何らかの対策が数100km^2にわたり必要になるだろう:
    • 土壌と水のサンプル調査は、農業対策を決定する上での唯一確実な方法である。
    • 農作物のサンプリングが必要な地域を同定するために、土地のモニタリングがより良い方法である。

背景

  • NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
  • 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
  • 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
  • EPA環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。

* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif

放射線被曝線量の説明

以上。

*1:訳注:ヘリコプターに測定器を搭載して放射線量の測定を行った。

【和訳】米エネルギー省による福島原発の放射能評価(4/7)

米国エネルギー省が4月7日にまとめた福島第一原子力発電所放射能に関する評価報告を和訳してみる。

原文はhttp://blog.energy.gov/content/situation-japan/にあるパワーポイントファイル4月7日版である。原文タイトルは "Radiological Assessment of effects from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant"

原文では放射線量をremで評価している。和訳にあたってはSv(シーベルト)単位に換算した値も併記した。1 rem = 0.01 Sv として換算した。

福島原子力発電所からの放射能の影響評価

米国エネルギー省、米国国家原子力安全保障局
4月7日2011年

計画の概要

  • AMS (Aerial Measuring Systems; 航空計測システム)は、これまで262飛行時間をかけて、航空モニタリングを行った*1
  • NNSA(国家原子力安全保障局)の重大事故対策チームは、約100,000箇所の測定を集計した。それらはDOE(エネルギー省)、DoD国防総省)、日本の放射能モニタリングによる。
  • 在日米国施設で計240の空気が採取され、米国の研究所で分析されている。

解釈のためのガイド

  • 米国の放射能評価は、航空と地上の測定から構成される。この評価は、地上に存在する放射性物質からの放射線レベルを示す。
  • 個々の測定値は、測定地点において1時間あたりにヒトが受ける放射線量に相当する。AMSのデータを、測定時に地上から1メートルにおける被曝量として示す。
  • 福島原子力発電所の敷地外のすべての測定値は0.013rem/hr(0.13mSv/hr)未満である。これは低い値であるが、取るに足らないほど低い値ではない。

DOE/NNSA モニタリング

地上と航空モニタリングの結果(3月30日〜4月3日のデータより)

航空モニタリング結果(4月6日2011年)

評価

4月6日に集計された測定値の評価はつぎのとおりである:

  • 放出された放射性物質が速く崩壊していることから、放射性ヨウ素放射線源の主要な成分である。
  • 半径25マイル(40km)の外側では、放射線レベルは避難や移住をするレベルよりも一貫して低い。また、放射線レベルは減少し続けている。
  • 3月19日以降、測定可能な放射性物質の放出はない。
  • 米軍基地と米国施設におけるすべての測定線量は32マイクロREM/毎時(0.32μSv/hr)未満である。健康へのリスクはないレベルである。
  • 農業のモニタリングと何らかの対策が数100km^2にわたり必要になるだろう:
    • 土壌と水のサンプル調査は、農業対策を決定する上での唯一確実な方法である。
    • 農作物のサンプリングが必要な地域を同定するために、土地のモニタリングがより良い方法である。

被曝割合の推移


♦ 仙台、● 文部科学省モニタリング地点32、▲ 文部科学省モニタリング地点46、■ 原子力発電所正門

背景

  • NRC(原子力規制委員会)の見積もりでは、平均的なアメリカ人は年間620mRem(6.2mSv)を被曝する。これは 0.071 mRem/時(0.71μSv/時)の被曝割合に相当する。*
  • 飛行機で大西洋を横断すると 2.5mRem(25μSv)被曝する。*
  • 典型的な胸部X線撮影では1枚あたり10mRem(100μSv)を被曝する。
  • EPA環境保護庁)のガイドラインでは、4日間で計1000mRem(10mSv)を被曝すると、公的に健康のための措置が求められる。

* 出典:NRC: http://nrc.gov/images/about-nrc/radiation/factoid2-lrg.gif

放射線被曝の説明

以上。

*1:訳注:ヘリコプターに測定器を搭載して放射線量の測定を行った。

なぜ日本は米国DOEのような調査ができないの?

いまさらの感があるが、福島第一原子力発電所放射能対策についてちょっと。

すでに多くの方はご存知だろうが、米国のエネルギー省は、福島第一原子力発電所からの放射能の影響を系統的に調べ、その評価を公開している。公開されている評価は順次アップデートされている。

http://blog.energy.gov/content/situation-japan/

放射線の測定器をヘリコプターに装備して、福島第一原子力発電所の周囲をスキャンするように飛行している。

測定手法・集計・評価・公開のどれをとっても素晴らしい。というか、日本がダメ過ぎだ。

一方国内では、4月11日に福島第一原子力発電所から北西部の地域(飯舘村などを含む)が計画的避難区域に指定された(下図*1)。いまさらの感はぬぐえない。政府が同心円状の避難地域の指定に固執していたとか言われている。米国のような調査を当初から行っていたなら、もっと早い段階で非難区域を適正に決めることができたであろう。


マスコミはSPEEDIの図(下図*2)をしばしば引き合いに出し、同心円状の非難区域の指定を批判する。しかし、各所で指摘されているようにSPEEDIは所詮「予測」である。それも何週間も前に行われた予測である。非難地域を決定するためには、現在の状況を理解する必要がある。


日本政府は線量の分布(地図)を可視化したことがあるだろうか?放射線量のトレンドを示すグラフを公開したことがあるだろうか?彼らはいつも数値が大量に記載された表を提示する。ボクは彼らのことを罫線族と呼んでいる。

罫線族は、沢山ならんだ数字によって、仕事をしたつもりになっている。

罫線族は、沢山ならんだ数字によって真実を隠す。
「木の葉を隠すなら森の中」である。

ここここここここの方々をはじめとする有志の努力には敬服する。

Macでe-Taxをしないほがいい

 確定申告の季節ですね。今年は挑戦してみましたよ。e-Tax

 なんでも以前は24時間対応していなかったとか。なんのための電子申請なんだろうな。でも今はメンテ時間を除き24時間利用可能になったようだ。おまけにMacにも対応している。これは利用しないとNE!

 というわけで、MacBookProで挑戦してみた。

住基カード電子証明書の準備@役所×2回


 役所に行って住基カード(写真なし)と公的個人認証サービスのための電子証明書の発行を申請した。でも即日発行してもらえない。申請の数日後、発行したよという通知が自宅に届き、それを持って役所に出向いて住基カードを受け取った。こんな面倒なしくみをとっているのは、住所の確認のためだという。昔のパスポート申請のようだ。

 将来はこれで選挙の投票ができるようになるのだろうか。

ICカードリーダライタを準備@家電量販店

 住基カードは発行している自治体によって使えるICカードリーダライタが違う。うちの自治体ではICチップありの接触型のカードだ。ご利用できるICカードリーダライタ(住基カード) | 公的個人認証サービス ポータルサイトで使えるICカードリーダライタを確認。結局、SCR3310-NTTComを家電量販店で購入した。

ICカードリーダライタのドライバをインストール

  ICカードリーダライタ | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さまからドライバをダウンロードして、Macにインストールした。

ソフトウェアのインストール・設定

 国税庁ホームページリニューアルのお知らせ|国税庁にしたがって、(1) 政府認証局の証明書と (2) 利用者クライアントソフトのインストールする。

 政府認証局の設定ではキーチェーンに情報を教え込む。結構めどくさい。しかも、微妙にマニュアルと違う。ちゃんとテストしてんの!?

 利用者クライアントソフトはVectorフリーソフトのような感じだ。嫌な予感。しかもダウンロードのページが酷い。そこには、ダウンロードボタンの直下に次のような注意が書かれている:

(ご注意)

インストールを開始する前に、ダウンロードした「JPKI02-03.dmg」のファイルのSHA-1ダイジェストが下記の通りであることを確認してください。
「JPKI02-03.dmg」のSHA-1ダイジェスト = 42b6600e72e8f642442a59a9b800a16de2e3e4f1

 で、SHA-1ダイジェストの確認方法へのリンクがあるので行ってみると、

 うおおお、ターミナルでUNIXコマンド叩いてますよ!しかも、黒塗りが多くてワケわからん。ユーザ名とマシン名を隠しているためか、プロンプトも黒塗り。しかも半分くらい黒塗り。戦後の教科書ですか?これ。

 いずれにしても、UNIXを使えるMacユーザ以外には意味不明なインストールガイドになっている。だれのためにマニュアル書いてるんだよ?システムもドキュメントもすべて業者(NTTデータ)に丸投げした感がぬぐえない。

 一方、Windows ならクリック一発で全部やってくれる。

 NTTデータにはMacの技術者はいなのか?

さて、本番

 ここでハマる。指示に従って情報を入力していると、キーチェーンがパスワードを求めてくる:

 はて、何のパスワードだ?JPKI-card#2って誰だよ、お前。

 正解は住基カード電子証明書に登録されているパスワードを入力する。
 しかし、これをできた人はほとんどいないのでは?

 このタイミングでOSのユーザ認証するのはおかしいが、キーチェーンが現れたので、あわててOSのパスワードを入力してしまう人も多いのでは。さらに、この前の操作で様々な暗証番号や識別コードが発行されたので、それらを入力してしまうのでは。なんとう社会工学的によく考えられたトラップなんだ。

 ボクもこのトラップにハマった。パスワードを5回間違えると住基カードのパスワードがロックされてしまうのだ。ロックを解除するために、また役所に行かなくてはならなかった(3回目!)。

 ググルとみんなこのトラップの餌食になっている。

ここで Windows を使うことにした

 このトラップはまだまだ序の口で、この先もっと凄いトラップがあるのではないか?このままMacで確定申告を続けるべきか?
 Macをあきらめて Windows に変更したら、いままで我慢してやってきた面倒な設定がすべて無駄になってしまうのでは?

 などと邪念が浮かぶが、ここはサクっと Windows に変更することにした。

 ここでMacを使い続ける選択は、株で負けを取り返すために、さらに負けこむという状況に似ている。賢い方法ではないと判断した。行動経済学でいうところの損失回避性に惑わされてはならない。

 経済学もたまには役に立つことがわかった。

 Windowse-Taxしたら、トラップはなく、スムーズ(?)に確定申告をすることができた。

まぁ、 解説動画を一時停止したりして、ステップバイステップでやっとできたんですが。

 まぁ、めでたしめでたし。

e-Taxを使ってみた感想

  • Macへの対応が酷い。面倒な上にトラップあり。マニュアルにも難有り。
  • 業者丸投げ感が強い。ドキュメントも業者が書いたものをノーチェックでは?
  • 国税庁の人がMacでテストしているようには思えない。
  • 利用者識別番号・暗証番号・納税用確認番号・電子証明書パスワードなど、コードが多すぎる。うまく名寄をするなどして、これらのコードが表にでないように設計するべきだ。ネットバンキングを見習うべきだ。
  • そもそも電子証明書にパスワードと暗証番号の2つが入ってるのが意味不明。両方不要だ。電子証明書そのものがが本人確認なわけだから。
  • 結局、納税用確認番号は一度も使わなかったぞ。
  • NTTデータのやる気が感じられない。素晴らしいシステムというものは、ユーザインタフェースからも設計者のやる気が感じられるものだ。随意契約をやめて競争入札にするべきだ。そのほうが国税庁も仕事が増えて嬉しいのでは?NTTデータが受注するにしても、やる気は出るだろう。
  • とにかくユーザインタフェースがダメダメ。というか、大枠の設計からダメダメ。自分がいまどのステージにいるのかわからず、迷子になる。
  • 利用率を上げるためには、「e-Taxかーんたん☆彡」みたいなCMに予算を割くより、システム全体の見直しが必要だろう。
  • 最初からWindowsを使うべきだった。